アホ社長のブログ
離島採集記録11~長崎県対馬島。
平成20年7月15日~7月22日、長崎県対馬島。
8日間分の日記投稿のため長~いです。のんびりと読んで下さいませ。これから「離島採集旅行」 に行く方は参考にでもして下さい。
今回は9年振り2度目の「対馬島採集旅行」へ私(KOBA)と弟の蛇メタの2人で行く事になった。この遥かなる 「対馬島」 は、大きい島の上に道路幅が狭く、峠だらけなので車でも余りスピードが出せず、 前回は移動が相当に厳しいという事を嫌になる程思い知らされた。今回はその経験を踏まえてのリベンジである。前回、時間的・ 天候的に断念したチョウセンヒラタクワガタ(対馬固有種)、キンオニクワガタ(対馬固有種)、 ネブトクワガタの3種は絶対採集すると誓っての決行であった(種属名は最初のみ和名フルネームで2回目以降から短縮和名で登場)。 かなりのプレッシャーであるが、難易度が高くても長年の地道な経験を考えれば十分採集は可能であると思っていた。 7泊8日を上の島で3日、下の島で4日(予備日含む)という配分で計画した。これは毎年7月恒例の「夏祭り」 が急遽中止となった事で連休の3日間が利用でき、大きい離島への採集が可能となり、急遽変更決定したのである。 当初は短い日数で別の離島採集へ行く予定であった。この他にも 「奄美大島」とか「沖縄本島」とかの大きい離島は、 1週間位の滞在期間がなければ多種属の採集は難しいと思う。単種で数量を採集する場合は、 事前準備さえできていれば滞在期間が短くても可能ではある。
7月15日(火) 芽室→とかち帯広空港→東京国際(羽田)空港→福岡空港(昼食「ちゃんぽんセット」) →対馬空港→レンタカー屋→対馬厳原町・某ビジネスホテル。 無事現地に到着し、 レンタカーで宿泊先の厳原町市街の某ビジネスホテルへ向かう(前回は美津島町の某ホテルに宿泊)。 先に宿泊ホテルへ送付した採集用具や果実トラップ等をレンタカーに積込み、17時頃に採集へ出発した。天気も良く、 今年の採集は昨年(2007年度・鹿児島県屋久島)とは大違いである。日没までに地上歩行性のチョウセンヒラタ採集のため、 沿岸沿いの林道脇の樹木(大木)に焼酎付果実トラップ(バナナ使用)を根元に仕掛けた。全部で10ヶ所(30本)設置した。 ついでに甲虫のツシマカブリモドキ(対馬固有種)の採集(友人への御土産用)のため、地面を掘ってカップトラップ(酢を少し入れた) を一緒に仕掛けた。その後は9年前にツシマヒラタクワガタ(対馬固有種)、コクワガタ、ノコギリクワガタ、 カブトムシ等を採集した場所へ行く事にした。まだあの場所は変わらずに残っているのであろうか?少々不安であった。途中の外灯 (自販機)巡りでツシマヒラタ、コクワ、コカブトムシ(嬉しい~)等を拾得しながら向かった。夜間の自販機の灯りには場所によって、 爬虫類のホオグロヤモリやミナミヤモリ、両生類のニホンアマガエルが雑虫を食べるため機体にくっ付いている。到着した頃 (22時頃) には、すっかり闇に包まれて懐中電灯の灯りが頼りとなったが、確かにその場所は残っていた。嬉しい限りである。 そんな中、同所で早速地元の採集者2人組(民宿経営者)に声を掛けられた。彼らは夜間の「樹液採集」のために来ていて、 ここで採集した大量のツシマヒラタを自慢げに見せてくれた。確認したが他の種属は持っていなかった。 「せっかく北海道から来てくれたのだから差し上げますよっ」、 という話になったが既に数頭採集済だったため丁重に御断りさせて頂いた。誠にスミマセン。幻の対馬産ミヤマクワガタ、 人気の対馬産オオクワガタ、珍品の対馬産アカアシクワガタ、情報量の少ない対馬産ルイスツノヒョウタンクワガタの他、マメクワガタ、 マダラクワガタ等の情報が欲しいので色々と質問させて頂いたが... 彼らは民宿客への御土産用のために採集している普通種キャッチャーのようである。とても感じの良い2人組だったので、 失礼にならないように初心者のフリをしていたが...「十勝ビートルファクトリー(TBF)」のHPを教えたので多分? 正体がバレタかも。その後、「灯火採集」のためにオオクワ等の有名産地へ向かう事にした。 深夜0時過ぎに現地に到着すると何やら人影があり、声をかけると地元の採集者であった。しかし、手に持っている採集用具等を見て 「この人はプロだっ!」、と認識した。色々な質問をさせて頂くと的確な返答が直ぐに帰って来る。 上記の幻のミヤマは韓国産だと詳しく説明してくれた。これはひょっとして. ..やはりそうであった。対馬の昆虫第一人者 (特に対馬産オオクワで有名)で専門誌「昆虫フィールド」 等で執筆中のK氏であった。採集したモノが大きいですよ(笑)。 彼と意気投合し、深夜の「○◇山(霊山)」 を目指して一緒に林道を走行した(アホっす!)。 「ここは霊が出るので霊感体質の場合は気を付けて下さいね」、と彼に言われた。私達”アホ兄弟”には全然問題無い上に、 興味のある分野でもある事を伝えた。ここではウラジロガシの樹液でネブトをゲットした(祝)。専門誌等の文献情報 (例えばモミの樹液)とは違う事を地元の彼の生情報によって1つ目のリベンジが果せた。感謝感謝である。他にここではツシマヒラタ、 コクワ、ノコギリをゲットした。だが、帰宅しようとした時に事件が起きた。車のタイヤが空回りして立ち往生となった。 押そうが引こうが、 タイヤ下に石等を敷こうがびくともしないのだ。暗闇の中約30分、 3人で何とか知恵を出し頑張って脱出に成功した。携帯電話も通じない林道奥地なので、一時はもう無理かとも思った。これも霊の仕業? だったのかも。大きな駐車場へ移動して彼と記念撮影をし、互いに名刺等の交換をした。散会後のホテルへの帰宅は朝5時頃であった (爆)。 宿泊客の中で私達2人だけは門限無しのVIP待遇であった。この日は計21頭の収穫であった。
7月16日(水) 朝帰りのためギリギリまで寝ていた。それでも3時間程度の睡眠であった。朝10時頃にホテルを出発した。 本来は上の島へ行き、キンオニ生息地のド本命である「△岳(霊山)」への登山予定だったが、 初日の余りの疲れのため2日目の予定を変更した。初日の走行で車がガス欠状態なので、先にガソリンスタンドへ向かう。 噂では聞いていたが、やはり島中何処でもレギュラー1リットル当り210円であった(大汗)。 毎日世話になったため所持金が破綻しそうだった(悲)。前日に仕掛けたトラップを見に行く事にした。 果実トラップにツシマヒラタは数頭付いているが、本命のチョウセンヒラタが付いていない。 埋め込みしたカップトラップの方には早くもカブリモドキが数頭入っていた。直感で「ここではチョウセンヒラタは採れない!」と思い、 果実トラップのみ全部移動する事にした。ここから数百メートルしか離れていない沿岸沿いの峠頂上付近の林道脇に仕掛ける事にした。 その後は夜間(夜行性種属用)の「樹液採集」の下見にクヌギ林等を探しに下の島を周った。「樹液採集」では、ツシマヒラタ、 コクワ、 ネブトをゲットした。「灯火採集」では大型ノコギリ♂をゲットした。 ここでは親子2組5人が私達の後からクワガタを採集しに来た。 保護者の1人から声を掛けられ、 小学校低学年らしき男の子の虫かごの中を見ると、まだ何も入っていなかった。 先にここで採集したコクワ♂を蛇メタが男の子にプレゼントすると大喜びで帰って行った。 その後は翌日の登山のため早く帰宅する事にした。それでも深夜0時過ぎの到着である。この島での移動の辛さが堪える。 この島で早く帰宅したいのであれば、その日の採集は諦めるべきである。日中の「樹液採集」の途中では、 爬虫類のツシマスベトカゲを蛇メタが捕獲したが、興味が無く直ぐにリリースした。 他にも両生類のチョウセンヤマアカガエル等が普通に何処でも見ることができた。移動中の路上では爬虫類のアカマダラ(対馬固有種・ 無毒蛇)の轢死体を発見した。夜間は天然記念物ツシマテン(対馬固有種)の生体を道路脇で目撃した。ちなみに、 私達の宿泊ホテルに限らず、市街地や観光地、キャンプ場等には韓国人旅行客がとても多かった。 日本国内なのに韓国に旅行にでも行った錯覚になる程であった。毎日夕食弁当や夜食を購入した市街の某スーパー等は、 韓国人団体客に占領されているような状態であった。この日は計31頭の収穫であった。
7月17日(木) 朝7時にホテルを出発して、上の島へ向う。約3時間後に目的地の「△岳(霊山)」に到着した。 9年前にここへ来た時は夜間に到着し、採集は危険なので登山道入口の記念撮影だけをして帰った因縁の場所である。 全ての準備を整えて入山した。温度湿度共に最悪の条件である。地元の方でも一生に一回登るかどうかの山である。 採集用具等を持って頂上を目指した。勾配がきつく、言葉も出せない程辛い状況である。蛇メタが熱中症になりそうな雰囲気だったので、 途中で何度も休憩を取りながら頂上付近の「社」に何とか到着した。ここでは休憩できるように木製ベンチや飲料用の湧き水もある。 試しに最近購入した 「ストロー型携帯用浄水器」を初めて使用した。実に便利な品物である。 同業者等はここの沢周辺から朽木を探しながら下山して 「材割採集」 をしているようだ。そのため朽木は殆ど無い状況である。 こんな事は想定内なので更に上を目指して登った。ここから先は更に辛いのだが、この辺りはもう誰も来ない場所のようだ。 早速近くにあった湿った細い朽木を蛇メタがナタで割ってみる事にした。腐朽が進み柔かいので簡単に割ることができる。 いきなり1本目の朽木からキンオニの蛹や羽化最中の♂♀が終齢幼虫と共にボロボロと出現した(祝)。 これで2つ目のリベンジに成功した。それでも蛹や新成虫も何頭かは潰してしまった(悲)。 同材の下部からはスジクワガタの幼虫も採集する事ができた。他に両生類のツシマサンショウウオを倒木の下で発見し、 蛇メタが飼育のため捕獲する事にした。暑さにとても弱い生物であるため慎重に持ち帰った。 キンオニは十分採集できたので直ぐに下山する事にした。私は下山途中に急勾配の場所で足を滑らせ転んでしまった。 両手に採集用具等を持っているためバランス的に危険な事が分かっていた。慎重に降りていたのだが...それでも両手首の怪我だけで (結構な出血)、他の身体部分や採集したキンオニ蛹等は何とか守った (結果的に1頭の♂蛹は★になったが)。私の場合、 痛みには強い方なので応急処置をして下山した。計画していた時間より大幅に時間が余ったので、 ここから近くにある天然記念物のツシマヤマネコ(対馬固有種・絶滅危惧種) の生体が飼育されている施設(観覧無料)へ向かった。 生きているツシマヤマネコを見る事ができて感動した。下の島へ戻ってからは、別の場所へ移動した果実トラップを夜間に見に行くと、 遂にチョウセンヒラタ♂が2頭付いていた(祝)。私の直感が大当たりで、これで3つ目の最後のリベンジに成功した(祝・合格)。 ここまで来ると執念である。このチョウセンヒラタはセンスの無い(調査や研究のしない) 奴には採れないクワガタだと思う。 一緒にツシマヒラタも付いていた。競合する種属のため棲み分けをしているのに面白い現象である。K氏も同様の事を言っていた。 嬉しい反面、イノシシに果実トラップを3つも食べられてしまっていたのだ。悔しい~。ミカンネットの無残な残骸だけが残っていた。 この近くでイノシシ捕獲用の罠を発見し寒気がした。この辺りはイノシシの多産地のようだ。ここでは他に夜間、ツシマジカ (対馬固有種)の親子や群れに運転中に何度も遭遇した。危なくて参った。北海道も同じだけど(苦笑)。 このイノシシとシカに関しては、地域によって害獣扱いになっていた。その後、「灯火採集」、「樹液採集」へ行く事にした。 「灯火採集」ではツシマヒラタ、コクワ、ノコギリをゲットした。 初日に行った霊が出るという林道奥地で深夜1時過ぎに原生林内の樹木を懐中電灯で照らしているアホがいるので、私達”アホ兄弟” も近付いて声を掛けると...前述のK氏であった(大爆)。考えることは同じで、彼は夜間の「樹液採集」でオオクワ、ネブト、 大型のツシマヒラタ♂ (75㎜~)狙いでここに来ていた。偶然とは言え深夜に2回も一緒に採集ができるとは... 互いに常識を逸脱したアホだ。これだけの苦労をして採集しているのだから、色々な奇跡が起こるのかもしれないと思った。ここの 「樹液採集」では、ツシマヒラタ、コクワをゲットした。サイズの小さい普通種等は♂♀共、この日からリリースする事にした。 初日の反省を踏まえ万全の体制で林道奥地を出る事にした。彼と大きな駐車場へ行き、暫くクワカブ等の談笑の後散会となった。 ホテルへの帰宅は深夜2時半過ぎであった。後にK氏と電話で話したところ、 この日の帰宅後に車が壊れ代車のため採集に行けないと嘆いていた。やはり、あの場所は霊山のためか? 何らかのリスクがあるのかもしれない(寒~)。物理的にも道幅も狭く谷底へ落ちる危険性が高い場所である。 深夜にここへ採集に行かれる方は気を付けるべし!アホしかいないと思うが...。この日は計45頭の収穫であった。
7月18日(金) 朝10時頃にホテルを出発した。リベンジが予定より早く達成できたので、 ここからは今回の採集で採っていない種類を目指す事になった。1つ目は10年前までは噂の対象でしかなかった対馬産オオクワの 「材割採集」である。K氏によると本土(里山系)のオオクワと違って原生林系のクワガタであるようだ。 これは北海道産オオクワと生息環境が似ている。ここでは涼しい時期に台風の影響によって、 立枯れの樹木が途中から折れて落下した材を狙って割るのが一般的であるようだ。日中、 有名産地の斜面を降りて適当な材を探すが分り易い所には全く無い。K氏によると本土の業者等が入って凄い状況だと言っていた。 確かに納得できる状況である。後は立枯れの樹木を高くまで登る方法だ。これは足場や脚立、梯子が無ければ危険過ぎる。 または遭難するような奥地まで入って適当な材を探すかである。背の低い立枯れ樹木からはコクワの蛹や幼虫しか出てこなかった。 猛暑高湿度の中、歩いて探しているだけで体力の消耗が激しいので早めに切上げた。車の所まで辿り着いて着替えようとしたところ、 腰ベルトに下げていたケースから手ノコが抜けたので、とっさに拾おうとしたら左手親指先端を深く切ってしまった。 出血が多いのでタオルで巻いて止血し、車に積んである医薬品等で迅速に対処した。長年の慣れなのか?以外と冷静である。傷跡(勲章? )は少々残ったが帰る頃にはほぼ完治していた。良かったなぁ。2つ目は対馬の普通種ではあるが、 全体的に数が少ないと言われているカブトが1頭も採れていないのである。9年前の8月初旬には大量にカブトが採れた記憶がある。 その時は樹液と果実トラップ(パイン)で採集した。今回は「灯火採集」 で♂1♀2の野良猫等に食われた残骸を発見したのみである。 少ないながらも発生している証拠であるため、地元スーパーで焼酎とバナナを購入し、即席の果実トラップを作成した。 バナナは手で揉みまくってから焼酎に付けると発酵が早まる。 発酵が進むと臭いが強烈なので全て蓋付の発泡スチロール容器に保管して運んでいる。 この臭いがレンタカー内に染付いたら生魚の臭いと同じく別途料金が精算の時に取られるであろう。臭いが漏れないように注意が必要だ。 各地のクヌギ林へ果実トラップを仕掛け、夜間に見回りに行く事にした。一度市街地に戻り、ガソリンの補給や夕食弁当、 夜食等をスーパーで購入して採集に向かった。途中の某公園の外灯へ行くと、 公園内の芝生をツシマジカの群れが食べている光景を目撃した。隣接駐車場に車を停め、徒歩で公園に入るとボスらしき♂がこちら威嚇 (監視?)している。2人で石を投げて反撃をすると、あっという間に全部退散した。最悪の場合、ナタ、ノコギリ、 ドライバー等で反撃するつもりだった。このツシマジカの角で突かれて亡くなった現地の方もいるので注意が必要だ。その後、 林道で初めて野生イノシシ2頭と遭遇した。こちらは車に乗っていたので安心していたが、奴らは道を譲る気は無いようだ(汗)。 レンタカーに突進されたら困るのでゆっくりと前進した。その内に2頭共林道脇に消えて行った。「トラップ採集」では、 大量にチョウセンヒラタが採れ始め、他にツシマヒラタも付いているのだが他の種属は採れない。 新たにクヌギ林に設置した果実トラップにはツシマヒラタのみであった。カブトの有名産地なのに全く採れない。 ここではまだ発生していないと判断した。夜間の「樹液採集」では、ツシマヒラタ、ネブトをゲットした。「灯火採集」では、 ツシマヒラタ、ノコギリ、コカブト(嬉しい~)をゲットした。しかし、果実トラップでも、樹液でも、 灯火でも本命のカブトは採れないので、仕方なく深夜0時頃にホテルに帰宅した(ガックリ)。この日は計26頭の収穫であった。
7月19日(土) 朝10時頃にホテルを出発した。コカブトを追加採集したいので「灯火採集」 で採れている適当な場所にトラップを仕掛けた。コカブトは飛翔性であるが、基本的に地上歩行性なので地面を掘ってカップトラップ (紙コップのこと)を埋込み、中にチーズを入れた。12ヶ所仕掛けたが、結果は最終日までボーズであった。 トラップ内には蟻やゴミムシばかりが入っていた。残念!午後からは前日の「材割採集」の続きで今度は逆に「○◇山(霊山)」 へ登る事にした。対馬では2つ目の登山となった(辛い~)。「△岳(霊山)」と違い標高は高いが勾配が緩いので登り易かった。 頂上まで頑張って到達したが、前日と状況はほぼ同じであった。頂上(雲の上)で休憩後早めに下山する事にした。ここは「鳥獣保護区」 に指定されている。体力の消耗が相当に激しいのでここでの採集はさっさと切上げた。またもや作戦変更が必要となった。夜間は、 カブトの発生を期待して採集に向かう。「トラップ採集」では、ツシマヒラタ、チョウセンヒラタをゲット。「樹液採集」では、 ツシマヒラタ、コクワ、ノコギリ、ネブトをゲット。「灯火採集」では、ノコギリをゲットした。 参った事にチョウセンヒラタ用に設置した果実トラップの内、今度は4つがイノシシに食べられてしまった。 置石で重しをしていたのだが、石の重量の軽いのが狙われていた。これで果実トラップは残り3つになってしまった。 どうせカブトは採れないし...思い切って新たに設置した果実トラップの内5つ分をここに移動する事にした。 ホテルへの帰宅は深夜0時半頃であった。ホテルへ帰宅後は毎日、産地ラベルや日付貼りに最低1時間以上は掛かっていた。 大量に採った時はそれだけ時間が掛かる。そのため睡眠時間がどうしても削られてしまうのだ。 これは毎度私の仕事なので蛇メタには早く就寝してもらう。これは毎日の車の運転を彼が行なってくれるためである。 彼の調子が悪い時は私が運転する。9年前はほぼ全部私が運転した。毎日の寝不足は身体に堪える。地元の小学校は「夏休み」 に突入したようだ。「灯火採集」ではライバルが増えそうだ(笑)。この日は計27頭の収穫であった。
7月20日(日) 朝10時頃にホテルを出発した。午前中に北海道で留守番している私の家族や会社の職員等のために御土産屋 (物産店)で用事を先に済ませた。午後からは前日の続きで、三度目の正直である。蛇メタと相談の結果、 プチ遭難も覚悟してオオクワ有名産地の斜面を下り奥地へ向かう事にした。原生林内は吸血生物(蚊・ダニ等)が多くて参った! 最新器具等で予防しているのだが、大分吸血された(特に顔と手指周辺)。採集中はアドレナリン分泌状態で異変に余り気付かないのだ。 それらしい立枯れ樹木もポツポツと出現して来た。中には数メートルの高さだが昇れそうな樹木があったので、 細心の注意をして樹木を昇った。台風で折れた大木の途中部分には古いオオクワの脱出口が4ヶ所確認できた。しかし、 この樹木はかなり固くてとても材割できるような物ではなかった。そんな事をすると私がバランスを崩して落下し、 大怪我をしてしまう危険性が高い。デジカメで脱出口付近を記念撮影して深追いを避け降りる事にした。 その後も蛇メタと適当な樹木を探しながら奥地の原生林内を彷徨った。既に倒れ掛っている立枯れ樹木(キノコも生えているしラッキー! ) を発見し、2人で倒した後、樹木の先端付近を材割した。ここから初齢幼虫が2頭採集できた(祝)。 同様な樹木をもう1本発見し、 こちらからも同様に初齢幼虫が2頭採集できた。まだこれらの幼虫は小さいので種類の判別が難しい。 成長すればオオクワか、 コクワか分かることだろう。相当高い部分から割出した幼虫であるので期待している。 日が暮れて来たので遭難しないうちに脱出を試みる。右往左往しながら何とか車の所まで戻る事ができた。 サバイバルゲームのようだった。そのまま夜間の採集に向かう事にした。「トラップ採集」では、ツシマヒラタ、チョウセンヒラタ、 コクワをゲット。「樹液採集」では、ツシマヒラタ、コクワ、スジ(成虫は初)をゲット。「灯火採集」では、ツシマヒラタ、 コクワをゲットした。しかし、本命のカブトはまだ採れない。つまらないので早めに(23時頃)ホテルへ帰宅した。 就寝する頃から大雨が降り始めた。これで暑くなれば翌日は期待できるかもしれない。この日は計24頭の収穫であった。
7月21日(月・海の日) 朝10時頃にホテルを出発した。天気は良いが夜中に雨が降ったためか、朝からかなり蒸暑い。 期待して「樹液採集」に向かう。これも夜中の雨のせいか、路上脇で初めて蛇の生体(アオダイショウか?)を目撃した。 捕獲しようと急いで車から降りたが、草むらの中へ消えて行った。走行中、天然記念物のツシマテンの轢死体も発見した。 この日は前から下見してあったクヌギ林3ヶ所の探索である。最初のクヌギ林内の樹木根元からカブト♂を遂にゲットした(祝)。 これで夜間の「樹液採集」も期待できそうだ。同所では日中ノコギリも大量にゲットできた。 ついでに林内にあったツシマジカの糞の下からは各種ダイコクコガネ数頭採れた。楽しい時間が永遠に続きそうだが、 翌日には北海道へ帰るので、早めにホテルへ戻って帰宅の準備等をしなければならないのだ。 この広い島は効率良く周らないと大変な目に遭ってしまう。そのため夜間採集の分を2つに分割して、本日は半分だけを周る事にした。 残りの半分は朝7時にホテルをチェックアウトしてギリギリまで採集する事にした。2つ目のクヌギ林はノコギリが多く、 まだカブトは発生していないようだ。夜間に3つ目のクヌギ林へ行くと、「いたいた~」。ここは、それなりに発生しているではないか。 夜中の雨のお蔭である。帰るまでに発生してくれて良かった。これは私の「クワカブ仲間」 に頼まれていたので何としても採りたかったのである。これで十分満足した。「トラップ採集」では、ツシマヒラタ、 チョウセンヒラタをゲット。「樹液採集」では、ツシマヒラタ、コクワ、ノコギリ、カブト、コカブト(嬉しい~)をゲット。 コカブトが樹木の高い場所で樹液を吸っていたのは驚きの発見である。対馬滞在最後の「灯火採集」では、ツシマヒラタ、ノコギリ、 ネブト(灯火では初ゲット)をゲットした。翌日の慌しさを考慮して早めに帰宅する事にした。ホテルへの帰宅は23時頃であった。 ホテルに到着すると、ロビーの受付カウンターでホテルオーナーと中学生の息子さんが私達の帰宅を待っていた。中学生の息子さんが弟 (5歳)の飼育しているコクワ+αの入った中プラケースを持って来て見せてくれた。私達が昆虫採集でこの島へ来ている事は、 知人の旅行代理店社長からこのホテルへ連絡されているし、宿泊客の中で私達だけが門限が無いのは、それが宿泊条件だったからである。 駐車場も1台分は私達のためだけに専用に用意して頂いた。 毎日部屋に段々とストックされるクワカブの数量を見てベッドメイキングの方もビックリしていた事と思う。 趣味や道楽のレベルはとうに超えている。そのため最終日に勇気を持って 「少しだけ分けて頂けないでしょうか?」 と聞いてきたのだと思う。快く承諾し、本日採集してきたばかりのツシマヒラタ、コクワ、ノコギリ、カブトを数頭ずつプレゼントした。 但し、条件付である。それは飼育方法が間違っているので、それを是正(勉強) してくれないと、 この瞬間にでもプレゼントしたクワカブが殺し合いをして死んでしまう。私からの注意点を守ってくれる事を約束してプレゼントした。 急遽用意して頂いたホテル厨房にあるタッパーに空気穴を開け、湿らせたティッシュを入れて、種類ごとに分けてプレゼントした。 あくまでも暫定的な方法である。部屋に帰ってからは、ダンボールに衣類や採集用具等を詰め込んで、翌日の宅急便発送 (ホテルからの着払い) の準備をする。これで手荷物の旅行用キャスターバッグが空になる。 翌朝は冷凍しておいたコールドパック数個をタオルで巻いて、 採集したクワカブと一緒にこの旅行用キャスターバッグに入れて運ぶのである。 クワカブは1頭ずつ仕切り付きのルアーケース内に湿らせたティッシュと共に入っている。暑さに注意すれば1週間位は生きている。 それでも大食漢のカブトは少々危険である。採集産地ラベル貼りを終らせたら、睡眠時間が殆ど無くなってしまった(焦)。 この日は計45頭の収穫であった。
7月22日(火) 対馬・厳原町某ビジネスホテル→トラップ採集→樹液採集→某公園(着替え) →レンタカー屋→対馬空港→福岡空港(昼食「ちゃんぽん」)→東京国際(羽田)空港→とかち帯広空港→某コンビニ(夕食用弁当購入) →芽室。 朝7時にロビーに向かうと、ホテルオーナーの奥さんから前日のクワカブの御礼に御土産を頂いた(嬉しい~)。あの後、 子供さん達は嬉しくてずっと騒いで起きていたらしい。チェックアウトしてから急いで前日の残り半分の採集に向かった。 最初にカップトラップ内で酢に浸かっているカブリモドキ3頭(仮死状態)をゲットし(たまにツシマヒラタも落ちていた)、 果実トラップでチョウセンヒラタをゲットし、「樹液採集」でツシマヒラタ、ノコギリ、カブトをゲットした。これで今年の 「地獄の修行」は終った。その後、某公園の駐車場で帰宅用の服装等に着替えた。 K氏と電話で一緒に撮影した写真や標本等を送る事を約束し、家内(KOBA♀)にこれから帰る事を伝えてから、 レンタカーの返却に向かう。滞在中の合計走行距離は1500kmらしく、担当者からは「寝ないで運転していたの?」と、 ここ対馬では短期間で考えられない走行距離だと言われた。「仕事で?観光で?」と興味津々で聞かれ、 昆虫採集のためだとは言わなかったけど(爆)。その後、レンタカー屋に対馬空港まで送迎してもらい、 正午発の福岡便の飛行機に乗った。荷物検査で写る物体を見て空港職員が私の顔を何度もチラチラと見ていた。 怪しい奴だと思ったに違いない(爆)。法律に触れる物は所持していないので文句も言えまい(笑)。 前日が2~3時間しか睡眠していないためか、機内では全て寝ていた。飛行機の乗換え時に起きなければならないのだが、 夢か現実か瞬間的に分らなくなる(笑)。相当の疲れが溜まっていたのだと思う。 自宅到着は21時頃だった。 この日は計12頭の収穫であった。
9年前は4泊5日の採集旅行で、採集可能日は2日間だけであった。これは台風の影響で大雨が続いたためである。この時は、 悪条件でもツシマヒラタ、コクワ、スジ、ノコギリ、カブトの5種類合計113頭をゲットして来た。今回はチョウセンヒラタ、 キンオニ、ネブト、オオクワ、コカブトの種類を追加採集することができた。また何時かこの島に行く事があるかもしれない。 その時は残りの種類(アカアシ、ルイス、マメ、マダラ)を是非ゲットしたいと思う。 台風がそれて天気に恵まれたのが今回の採集結果に現れたのではないかと思う。 リリース分を除いて最終的に10種類合計231頭の採集結果であった。無条件で全部採っていたら300~400頭にはなってしまう。 採集状況から判断すると、この島で一番生息数の多い(勢力的に強い)のはツシマヒラタで、次にコクワ(環境変化に強い) ではないかと思う。毎回採集した中で私の手元に残るのは1割未満(観察・標本用)である。他は信頼できる「クワカブ仲間」や 「昆虫ショップ仲間」等への御土産になるのである。私達”アホ兄弟”は、能動的に採ったという達成感(運ではなく実力) が欲しいのである。当然嘘吐き呼ばわりされないように現物証拠、写真撮影、ビデオ撮影等で記録として残している。 採った事のない種属を目指して毎年階段を上っているのだ。数量はどうでも良く結果論でしかない。自己満足の世界だが、 今回のレベルアップは大きい方だと思う。その分、帰宅後も未だに疲れが取れていない。歳なんだろうなぁ。 後何年続けられるのであろうか。特に難易度の高い離島へは、元気なうちにさっさと行かないと体力的に無理になりそうだ。そうなると 「観光旅行」に必然的になってしまうのだろうなぁ。これはこれで老後?の楽しみだが、多分離島には行かないと思う。 蛇メタからは来年(2009年度)の候補地名(リクエスト)が出ている(笑)。
採集結果(灯火・樹液・果実トラップ・カップトラップ・朽木材割)→キンオニクワガタ♂6♀3幼虫12、 ツシマヒラタクワガタ♂40♀22、チョウセンヒラタクワガタ♂20♀17、オオクワガタ幼虫4、コクワガタ♂24♀15幼虫9、 スジクワガタ♂1♀1幼虫4、ノコギリクワガタ♂18♀6、ネブトクワガタ♂12♀5、カブトムシ♂7♀2、コカブトムシ♂♀3、 不明幼虫2、雑虫類(カナブン、コガネムシ、ダイコクコガネ、カミキリ、オサムシ、ツシマカブリモドキ、キマワリ、コメツキ、 ゴミムシ、カメムシ、セミ、カマキリ、オオスズメバチ、ムカデ等)、両生類 (ツシマサンショウウオ)。
続きは次回に。
カテゴリ
アーカイブ
- 2022年
- 2021年
- 2020年
- 2019年
- 2018年
- 2017年
- 2016年
- 2015年
- 2014年
- 2013年
- 2012年
- 2011年
- 2010年
- 2009年
- 2008年
- 2007年
- 2006年
- 2005年
- 2004年